バセドウ病コラムVol.01 バセドウ病や橋本病、甲状腺疾患を持っている方との上手な接し方

私がバセドウ病になってから、社会に出て働く中で、家族や友人と過ごす中で、感じたことがあります。ひとつは、病気を支える側も大変だということ。そしてもうひとつは、バセドウ病でない人はバセドウ病の人とどう接したら良いか分からないということ。

以前勤めていた会社でも、支えたい気持ちは伝わって来るけれど、具体的にどうしたら良いか悩ませてしまっているなと感じる場面が多々ありました。

またTwitterなどでも、ご家族や身近な方がバセドウ病で、どんな風に接したら良いか分からないというご相談を頂くこともありました。

今回は私の体験をふまえて、バセドウ病をメインに甲状腺疾患を持っている方とどう接すればよいかを考えてみたいと思います。

バセドウ病の症状を正しく理解する

基本的なことですが、バセドウ病がどのような病気なのかを知ることが一番大切だと思います。もちろんベストは書籍で学ぶことですが、インターネットでも「バセドウ病 症状」などで検索すると沢山の情報がヒットします。

もし職場にバセドウ病の方がいらっしゃるなら、管理職の方にとってバセドウ病の知識はなおさら必要になってくると思います。力仕事や持久力が求められる仕事の場合には、病気を考慮しないと本人の体調が崩れることはもちろん、会社の損失に繋がるような重大なミスに繋がりかねません

学校の場合も同じです。バセドウ病の症状が酷い状態では、動悸や息切れで階段をのぼることすら難しい場合があります。そのような状態では、体育や運動系の部活で周囲と同じようなメニューをこなすのは非常に危険なことだと思います。

目に見えない病気だからこそ、正しい知識が求められます

勤めていた頃、私はデスクワークでしたので重大なミスということはありませんでした。しかし、真夏の時は通勤するだけで精一杯、通勤途中で具合が悪くなり遅刻連絡をする日も多く、亢進状態による不眠症でフラフラ、真っ青な顔で休憩室へ…といった具合でした。重い荷物を持ってくださったり、階段でフロア移動しなければいけない業務は変わってくださったり、小さな心遣いが身に染みるほどありがたかったです。

数値が良くなる≠元気になる

バセドウ病などの甲状腺疾患は、基本的に血液検査の数値でその時々の状態を判断します。しかし、検査結果が正常になっても不調を訴える方も多いです。私自身、バセドウ病の数値はそれほど酷くはないけれど、再発を繰り返したり、数値が安定しても体調が安定しないという不安定タイプでした。

心療内科の先生によると、バセドウ病などの機能亢進症よりも、橋本病などの機能低下症の方が、数値が正常範囲内になっても不調を感じやすいとのことでした

なお、機能亢進症とは「代謝が良くなりすぎてしまっている状態」、機能低下症は「代謝が悪くなりすぎてしまっている状態」のことを指します。

「完治」ではなく「寛解」

バセドウ病は「完治」ではなく「寛解」という言葉を使います。風邪や骨折のように完全に治ることはありません。つまり、一生付き合っていく病気であり、再発もあり得るということです。

私の場合は何度も再発を繰り返し、「再発とは言い切れないが数値が悪い」という診断が下ったこともあります。私にとってバセドウ病は、曖昧で不安定な状態が続く病気です。

バセドウ病は目には見えない病気です。症状も多岐に渡るためひとつひとつ説明することも難しく、同じバセドウ病の人でも症状や寛解までの期間が全く異なる場合もあれば元気そうでも見えないところで苦しんでいる場合もあるのです。

「元気?」よりも「調子はどう?」

バセドウ病を経験していないと、恐らく感覚的に理解しにくいのが「体調に波のある病気」ということです。

昨日は体調が良くなかったけれど、今日はたくさん動けそう。今日は元気だけど、明日や一週間後までは分からない。気候、気圧、生理など、あらゆる要素に心と体が敏感になり、その日の体調を左右します。私にとってはそういう病気なので、勤めていた頃にどう答えたら良いのか一番困ったのが「元気?」という質問でした

悩んだ末に「いつも通りです」「ぼちぼちです」と、少しぼかして答えることが多くなりました。

そんな中でとても助かるのが「今日の調子はどう?」と聞いてもらえること。幸い、私の上司は身内にバセドウ病の方がいらしたので病気の特徴を理解しており、このように聞いてくださることがよくありました。

仕事をする上でも「元気かどうか」を共有するよりも「今日の調子はどうか」を共有した方が、一日のタスク調整がしやすくなります

家族や友人の場合にも「今日の調子はどう?」と聞いて貰えるととても答えやすく、私なら「気にかけてくれているんだな」と少し心が救われる気持ちになります。また調子が悪い時なら「今日はあまり無理はできないかも」など、ちょっと言いにくいな…と思っていることも言いやすくなるので、とても助かります。

バセドウ病と心のつながり

私はバセドウ病発症とほぼ同じタイミングで、うつ状態を発症し、さらにパニック障害も経験してきました。

もともと、機能亢進症ではイライラしやすくなり、機能低下症ではうつ状態になりやすいと言われています。

うつ病やパニック障害だと思って心療内科に通い続けていたけれど、実は甲状腺疾患だったということも少なくないようです。私の通っている心療内科の先生は、まず一番最初に血液検査で甲状腺疾患の値を確認すると仰っていました

私は現在もうつ状態やパニック障害の治療中ですが、毎回言われるのは「とにかく甲状腺の数値が落ち着いてからですね」ということです。

病気のせいで心のコントロールが上手くできなくなってしまうのは本人も辛いですが、周囲も辛いことだと思います。

さいごに

病気というのは、本人はもちろんですが、支える側の人の負担も非常に大きいものです。時には見守り、時には支え、時には寄り添い…もしそんな気持ちを持ってくださっているとしたらそれはとてもありがたいことです。ですが、本人も支える側も決して頑張りすぎないことが一番大切だと思っています

そして、病気の辛さというのはやっぱり本人にしか分からないもの。それを無理に分かろうとする必要もありません。「分からないから教えてほしい」「分からないけど寄り添いたい」という気持ちを伝えてもらうだけでもとても救われるものです

今回の記事、いかがでしたでしょうか。甲状腺疾患を持つ方との接し方について悩んでいる方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

8 COMMENTS

たけお

はじめまして。
私は、3月に父急死で生活が大きく変わり、バセドウ病に成りました。

先日、数値は正常値になりましたが、明け方になると体がだるくなり、お薬が手放せません。

父が、お取引先で怪我をして緊急搬送されて、一週間後に、命を引き取りました。

私の家は、自営業で家族三人頑張って来ましたが、畳む事になりました。

もう毎日が、辛く悲しく悔しい気持ちです。

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tunomi

たけお様

はじめまして。
ブログお読み頂きまして、ありがとうございました。

大変な状況の中でバセドウ病になられたとのこと、
私には到底想像もつかないような、
深い悲しみ、苦しみ、辛さの中におられることと思います。

たけお様にかける言葉が見当たらず、心苦しい気持ちです。
私には紡いだ言葉をブログで発信することしかできませんが、
このブログに遊びに来ていただくことで、
ほんの少しでもたけお様のお心がふっと軽くなるような瞬間がありますように…と願うばかりです。

晴れの日も少なく気持ちもより沈みやすい時期ではございますが、
どうかご自愛くださいませ。

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tosique

ブログを拝読しました。
私は治療を始めて2年位ですが、
会社に打ち明けたのはめまい症を併発したからです。残念ながら全く人事や総務に伝わっておらず、責められ、全部自分のせいにして落ち込み、眠れず、髪もかなり抜けました。美容院に行くたびに私禿げるの?って何度聞いた事か…。
私はメルカゾールは副作用で痒みがでてチウラジールに変わり、いまはプロパジールを服用しています。本当に長い闘いですね…。

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tunomi

tosique様
ブログをご覧いただきありがとうございます。
仕事と病気の両立は辛いものですから、
周囲の理解を得られないとのこと、本当にお辛いですね。
私もメルカゾールで蕁麻疹が出たり、その他の色々な症状で悩みました。
髪の毛は再発のたびに大量に抜け…これもかなりショックを受けますよね。
長い闘いではありますが、かならず良くなる病気だと私は信じています。
焦らず少しずつ、一緒に頑張っていきましょう!

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karion

はじめまして。
コロナ禍の中、バセドウ病になりました。
私は、布団に入ると強い痒みが襲ってきて、皮膚科やアレルギー科に行ったものの治らず、体重が落ちたこと、激しい動悸や息切れで体の変化に気付きました。
でも、まだ自分自身がしっかりと病気を受け止められていないので、家族以外には職場や友人にも話せていないです。
また、イライラや倦怠感は、家族にもなかなか分かってもらえず辛いです。
でも、こちらのブログを拝見して、こういう症状も自分だけじゃないと思えたのは、とても救いでした。
少しずつでも、向き合っていきたいです。

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tunomi

karionさん、はじめまして。
ブログをお読みいただき、またコメントまで残して頂けてとても嬉しいです。
この状況でバセドウ病になられたこと、お辛かったと思います。
突然のことですので、病気を受け止めるのも時間がかかってしまいますよね。
バセドウ病は目に見えにくい病気なので周囲の理解を得るのにも時間がかかってしまうかもしれませんが、
私のブログが少しでもお役にたてたのなら、これ以上嬉しいことはありません。

バセドウ病は長く付き合っていく病気ですが、きちんと治療をすれば必ず良くなる病気です。
今は頑張りすぎず、焦らずゆっくりご自身と向き合っていけると良いですね(^^)
karionさんの心と体が、日々少しずつ良い方へ向かっていくことを願っています。

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karion

tunomiさん、こんにちは。
先日は、コメントにお返事いただき、ありがとうございました。
バセドウ病によるイライラなどの心の不調や倦怠感は、目で見て分かるものでないため、なかなか家族に理解してもらえず、それがとても辛かったので、思い切って主人にtunomiさんのブログを読んでもらいました。
私が『疲れた、疲れた』と口癖のように言うのは、同情を引くため大袈裟に言っていたように思われていた(笑)ようなのですが、tunomiさんのブログで健康な時の疲れと、バセドウ病による疲れが違うことをようやく少しですが、主人に理解してもらえました。
お医者さんの専門的な助言も必要ですが、同じ経験をした先輩の体験談は、家族には聞き入れやすいものであったようです。
私自身も疲れてイライラしてコントロールできなくなってしまうと、罪悪感で落ち込んでいましたが、甲状腺疾患により心の不調が起こることがあり、それは自分だけではないと思えれば、気持ちも少し軽くなります。
ご自身の体調が完全ではない中なのに、体験談を発信していただき、ありがとうございます。
私はtunomiさんのブログで、モヤモヤした気持ちをわかってくれる人がいた!と救われ、とても気持ちが楽になりました。
バセドウ病は長く続くものだとは思いますし、今後も簡単にはいかないこともあるとは思いますが、少しずつでも前を向いて寛解を目指していけたらと思っています。
また落ち込んだら、ここに来たいと思います。

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tunomi

karionさん、こんにちは。
旦那様にご理解いただけたとのこと、またそのお手伝いができましたこと、心から嬉しく思います!
身近に少しでも体調を理解してくれる人がいると、とっても心強いですよね。
調子の良い時と悪い時の波があったりして、ご自身でもその日の体調を把握しきれないこともあるかと思います。
そうするとなおさら「本当に体調悪いの?」と思われがちなのですよね(泣)
私自身、イライラや抑うつをコントロールできずに、
旦那さんにぶつけては酷く自己嫌悪に陥ることがあるのでお気持ちよく分かります。
私は、忙しい時や調子の悪い時は「イライラすること多くなると思う。ごめんね。」など、事前に宣言するようになりました(笑)
でも罪悪感をお持ちということは、karionさんはそれだけ誠実でお優しい方なのだと思います(^^)
ブログをお読み頂けただけでも嬉しい事ですのに、その上コメントまで残してくださったこと、本当にありがとうございました。
Twitterにもおりますので、お辛い時もそうでないときも、またいつでもいらしてくださいね。
バセドウ病になる方は頑張り屋さんが多いので、どうか無理せず日々をお過ごしください。
寛解目指して、ゆるゆると一緒に頑張りましょう!

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